【コラム】
大原雄の『流儀』

報道の自由度67位という、日本の「不自由度」

大原 雄


●「報道の自由度」キャンペーンの仕組み

 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は、毎年、世界各国の「報道の自由度ランキング(Press Freedom Ranking)」を発表している。自由度ランキングは、「国境なき記者団」の駐在員などがいる国と地域の「ジャーナリストに与えられている自由」を推し量るというもの。14団体、130人の特派員、ジャーナリスト、調査員、法律家、人権活動家などが、50項目のアンケートに回答をして、その結果を数値化している。0点から100点までの数値化は、マイナス採点で点数が低いほど、自由度が高い、ということになる。

 ただし、こういう「定性」(本来数値化できない)的な評価に基づく数値化は、ランキングをつける人たちの「価値観」が反映される、という嫌いがあり、客観性を疑わせる可能性があることは、予め注意すべきだろう。
特に、日本の記者クラブ制度は、日本人に限らず、外国人のフリーのジャーナリストや独立系のジャーナリズムなどの取材活動を困難にしている、という日本のメディアの構造的な事情がある。こういう調査でも、外国人の特派員やジャーナリストから日本の報道の不自由は、不評だということは、容易に推察されうる。そういう点を予め承知の上で、私は、今月のコラムでは、以下、書いて行きたい。

指定を外さないよう求めて戦っていくと述べた

●「敵対感情」が民主主義を危機に陥らせる

 こうしたマスメディアの世界的な現状に対し、「国境なき記者団」のクリストフ・ドロワール事務局長は次のように話している。
「政治的な論争が敵対感情を煽り、その中でジャーナリストが、いわば『生け贄』にされるようなことになれば、民主主義は重大な危機に陥るだろう。(略)この恐怖と萎縮の悪循環を食い止めることが、自由の価値を認めるすべての人々にとって、最も緊急の課題となっている」。

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●トランプ流 → 安倍流

 例えば、日本はどうか。
19年は、18年同様に、相対的な順位では、日本は67位で変わらないが、絶対的には、どうなのだろうか。アメリカのトランプ流の「フェイクニュース」キャンペーンは、日本での「フェイクニュース」キャンペーン現象に繋がっているのではないか、などの疑問があり、トレースを試みてみたらどうだろうか。

保護団体「セーブ・ザ・マナティー・クラブ」のパトリック・ローズ事務局長は地元紙に対し

 最近の厳しい順位は、改憲への目論見を始め、第二次安倍政権継続の時代が続く中で、右傾化を強めていったことへの警戒感が外国の特派員、ジャーナリストに強く現れているのではないのか。1990年代以降の資本主義経済の長期低落傾向をベースに資本主義は、富を生み出す力を弱体化させてきた。その結果、民主主義の最も重要な要素である寛容性が劣化し始め、不景気になれば、ナショナリスティックなモードが強まることになり、右翼的な政党が支持を広げることになる。第二次安倍政権の諸政策は、そのことを明白に示しているし、寛容性の劣化は、社会全体に蔓延している。

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同州全域で2011年に行われた調査では約4800頭いたとされているが

●官邸での菅流「フェイクニュース」キャンペーン

 東京新聞社会部の女性記者が、官邸の記者クラブ(内閣記者会)で、菅官房長官を相手に、粘り強く丁々発止の闘いをしているのをご存知だろう、と思う。

 この女性記者は、東京新聞の紙面だけでなく、著作や講演などの活動で、堂々と情報発信しているので、マスメディアに関心のある人は、よく知っているかもしれない。私も、彼女の話(シンポジウム、セミナー、講演会など)を直接的に3回は、聞いている。

 女性記者は2000年に東京新聞社に入社。首都圏の支局勤務を経て、警察・検察などの事件取材を経験してきた。現在は、入社19年のベテラン記者になっている。2017年、政治部の管轄である官邸の記者クラブの菅官房長官定例会見で、加計学園問題で「総理のご意向」と書かれた文書の所在を元官僚らが認めた問題を巡って、菅官房長官が、「文科省の調査では確認できなかった」という答えばかりを繰り返していた時、この女性記者は、官房長官によるフェイクニュースを疑って、「もう一度、真摯に受け止めて、文書の公開、第三者による調査をするというお考えはないのですか」などと食い下がった。

カリフォルニア州ロングビーチにある水族館の専門家デービッド・ベーダー氏によると

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●菅流は、パワーハラスメント? いや「いじめ」?

「こんな生物が存在するなんて知らない人も多いかもしれない」「風向きが変わると突然浜辺に流れ着く

●NHKの場合

 申し入れ書の表題は、「板野裕爾氏をNHK専務理事に任命する決定の撤回を要求します」と書いてある。

波が模様を少しずつ消していく様子を眺めるまでが制作のプロセスだという/Courtesy Marc Treanor

 このような一連の報道姿勢は、「NHKは『アベチャンネル(安倍政権の御用放送)』」という市民やNHKOBなどの批判を招き、2015年8月には約1,000人の市民が放送センターを包囲して、抗議の声を上げる、というNHK史上、前代未聞の事態を引き起こした。その一方で、安倍流や菅流の人たちからは、大いに賞賛されたのであろう。

 これでは、まるで、韓国映画『共犯者たち』に登場する政権(李明博・朴槿恵大統領の時代)の「共犯者(KBSやMBCの当時の社長たち)」と同じでは無いのか。その傾向は、今もNHKでは続いている。そういう状況下での問題の人物の返り咲き(出戻り)である。

 NHKにある記者クラブ(複数ある)などマスメディアでは、ほとんど報道されていないが、NHKの労組の動きを申し入れ書から見ておこう。「(局内からの情報によれば、)ニュースや番組現場の組合員が所属する日放労放送系列が、2015年秋から冬にかけての交渉で当時の板野放送総局長らに申し入れをしています。放送系列はこの交渉の中で、「理由が示されないまま放送延期になった番組が複数ある」「制作プロセスの意思決定の理由が現場十分に示されていない」「政権と距離感が近づきすぎという世間の批判がある」などと指摘し、改善を求めた」とある。

討論会でトランプ氏が実際にこうした行為に及んだのを否定したことを受け

 この返り咲き人事について、次のような情報が伝えられている。

 NHK経営委員会の複数の委員が人事案の審議中に懸念を示した、というのだ。これについて、NHKの上田良一会長は「私の方でもそういう懸念をしっかり踏まえてやっていく」と約束していた、とメディアが伝えている(上田会長の任期も残り1年という中で、今回の人事は、あの菅官房長官が石原経営委員長を通じて、上田会長に伝えられた、ともいう。会長の言う「懸念」の中に、こういう「経緯」も含まれているのかもしれない)。

 4月9日の経営委員会では、板野氏を含む人事案承認に対し、ふたりの女性委員が棄権した、という。関係者によると、棄権した委員は、「板野氏が就任した場合、いろいろと反発がある」、「(言動に)これはどうかと思うことが過去にいくつかあった」などと懸念を述べた、という。反対しなかった別の委員も、「慎み深い行動をお願いしたい」と釘を刺した、という。

贅言;経営委員も懸念する言動の人。この人物は、前回、NHKを辞める時、マッカーサー元帥のように「アイ・シャル・リターン」と言った、という。「私は必ず帰ってくる、会長として」と豪語していた、という噂が伝えられている。今回の専務理事出戻りをその第一歩にならせないようにしなければならないだろう。主権者・国民たる視聴者のために。

被害者は金銭を受け取って危機的な状況を演じていると主張する内容だ

 だが、悲観論もある。ああいう感性の鈍い人たちに正面から問題提起をしても理解される可能性は低いかもしれない。彼らをオーソドックスに攻めても、彼らの態度を硬直化させ、彼我の溝が深まるだけかもしれない。そうなれば、問題は容易に解決しない。時間をかけて、こうした「構造」を変えるしかないだろう。こちら側(少数派)の持ち味である多様化を許容する場・空間をあちら側にも構築する必要がある。そのためには、ゆっくりとあちら側に近づき、あちら側の人たちの顔ぶれを変えてしまいような作戦を立てる必要がある。

 そういう懸念がNHKの内外から表明されながらも、オール・オア・ナッシング(1強多弱)の思考構造が、結局は、まかり通る、としたら……。

 日本の民主主義は、既に、死んでしまったのかもしれない、と悲観的になる日も、私にはある。しかし、私たちは、まだ少しは生き続けつづけなければならないし、安倍流、菅流のように、私たちの後も生きる若い世代に平気でツケ(不良債権)を残すような真似だけはしたく無い。

 (ジャーナリスト(元NHK社会部記者)、日本ペンクラブ理事、『オルタ広場』編集委員)
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